今回は顧客価値の仮説です。
顧客価値には、
顕在的顧客価値と潜在的顧客価値があります。
顕在的顧客価値とは、顧客の抱えている課題や願望が明確で、すでに顧客が認識している価値です。顧客の持つ課題や願望を探ることで、それに応える商品・サービスを提供することが出来ます。
一方、潜在的顧客価値とは、顧客が気づいていない新たな事業や商品・サービスの提供することです。
そこで、この様な顧客価値をもう少し高い位置から帰納法を用いて経済学・心理学から見た顧客価値を考えてみましょう。
顧客価値を考察する上で、最初に登場するのが、18世紀にフランスで活躍したジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau、1712年6月28日 – 1778年7月2日)です。
出所:wikipedia
主にフランスで活躍した哲学者、政治哲学者、作曲家で、ドゥニ・ディドロ、ジャン・ル・ロン・ダランベール、ヴォルテール等、同時代の多くのフランスの知識人とともに百科全書派の一人に数えられる人物です。(wikipediaから抜粋)
ルソーは、1712年スイスのフランス語圏の都市ジュネーヴにて、時計職人の息子として出生しました。教育学の古典的名著「エミール」で有名で、大学時代の教養課程の授業で聞いたことがある人も多いと思います。
ルソーから影響を受けた者としては、哲学者のイマヌエル・カントが有名で。 ある日、いつもの時間にカントが散歩に出てこないので、周囲の人々は何かあったのかと騒ぎになった。実はその日、カントは、ルソーの著作『エミール』を読みふけっていたとの逸話が残っています。
彼は、この『エミール』の中で、
- 人間の自然性とは、人間の本来のあり方、あるいは人間の本質と言い換えてもよい。
- 教育とは、人間に人間本来のあり方を身に着けさせ、人間としてふさわしい生き方ができるように導くことだ。
と主張しました。
つまり人間として本来誰にもそなわっているもの、それを引き出すのが教育というわけである。
ちなみに、教育 Education というフランス語は、ラテン語の「引き出す」あるいは「導き出す」という意味の言葉を語源としています。
更に、
- 欲望と、能力のギャップにこそ、不幸は存する
- 幸福のためには、能力を超えた欲望をなくし、力と意志とを等しくしなければならない
と述べています。日本語で言うと「身の程」とか「分相応」とかと言う事で、その人の身分や能力にふさわしいことにするっていう事でしょうか。
ただ、逆にとると、何らかの方法で、欲望と能力のキャップを埋めてしまえば、人は幸福になると言う事が言えます。
そこで、最初の顧客価値の仮説として、
顧客価値=欲望と能力のキャップを埋めるコトもしくはモノ
と仮説を立てる事が出来ます。
次回は、19世紀の経済学のオーストリア学派を例に顧客価値を考えていきます。
お楽しみに。